LOGIN一緒に寝る? とか聞かれたせいで顔が一気に熱くなる。
真人さんがくすっと笑った。「冗談だよ」「も、もう!」「ごめん。葵さんの反応が可愛くて」「…………!」 か、可愛い!? 今、可愛いって言った!? この人、敬語をやめてから、どんどん距離が近くなってない!?「ママー!」 陽奈が私の服を引っ張った。「ひな、まんなか!」「え?」「ママとしゃちょーさんの、まんなかでねる!」「陽奈……」「だって、ふたりともだいすきだもん!」 満面の笑顔。 ああもう、そんなことを言われたら、何も言えなくなっちゃう。 真人さんが陽奈の頭を撫でた。「じゃあ、陽奈ちゃんを真ん中にしよう」「やったぁ!」「ただし、僕はベッドの横に布団を敷一緒に寝る? とか聞かれたせいで顔が一気に熱くなる。 真人さんがくすっと笑った。「冗談だよ」「も、もう!」「ごめん。葵さんの反応が可愛くて」「…………!」 か、可愛い!? 今、可愛いって言った!? この人、敬語をやめてから、どんどん距離が近くなってない!?「ママー!」 陽奈が私の服を引っ張った。「ひな、まんなか!」「え?」「ママとしゃちょーさんの、まんなかでねる!」「陽奈……」「だって、ふたりともだいすきだもん!」 満面の笑顔。 ああもう、そんなことを言われたら、何も言えなくなっちゃう。 真人さんが陽奈の頭を撫でた。「じゃあ、陽奈ちゃんを真ん中にしよう」「やったぁ!」「ただし、僕はベッドの横に布団を敷くからね」「くっつけて?」「うん。くっつけよう」 陽奈が嬉しそうに飛び跳ねる。 その姿を見て、真人さんも笑った。 私たちは三人で寝具を整えることにした。「しゃちょーさん、こっち!」「はい、先生」「せんせいじゃないよ!」「あれ? さっき先生になるって言ってなかった?」「いまは、ひな!」「そっか。じゃあ、陽奈ちゃん」「はーい!」 真人さんが予備の布団を運んでくる。 私も手伝おうとしたけれど、あっさり断られてしまった。「葵さんは陽奈ちゃんと待ってて」「でも、これくらいなら……」「今日はいろいろあっただろう? 少し休んで」「……ありがとう」「どういたしまして」 真人さんは手際よく布団を敷いてくれた。 ベッドのすぐ横に、一組。陽奈がその布団を
家に戻れることになったので、早速家に戻った。 もうストーカーからは連絡がない。もかちゃんは警 察に預けたし、この家に盗聴器などの類はないと信じたい。 注文した宅配オムライスの夕食をすませ、陽奈と一緒にお風呂に入った。 陽奈の保育園の話をたっぷり聞いて、お風呂から上がってパジャマになって、髪を乾かした。「しゃちょーさーん」 陽奈がタタタッと真人さんの方へかけて行った。「じゃあ、そろそろお泊まり会の準備をしようか」 真人さんが陽奈を抱っこしてくれて、そのまま私に微笑んだ。「……本当に、いいの?」「もちろん。今日は三人で寝ようって約束しただろう?」「でも、真人さんの寝室にまでお邪魔するなんて……」「葵さん」「……なに?」「遠慮禁止」「あ……」 また言われてしまった。「それに、僕だって一人で寝るより、みんなと一緒の方が楽しそうだと思ってるんだ」「しゃちょーさんも、おとまりかいしたいの?」「うん。実はお泊り会って初めてなんだ。すごく楽しみで」「ええっ!?」 陽奈が目を丸くした。「しゃちょーさん、おとまりかいしたことないの!?」「ないんだよ。だから、陽奈ちゃんが僕に教えてくれる?」「いいよ! ひな、おとまりかいのせんせいになる!」「それは頼もしいな」「まずね、おふとんをならべるの!」「なるほど」「それから、みんなでおしゃべりするの!」「ふむふむ」「それからね、ないしょのおはなし!」「秘密の話?」「そう! ママにはないしょ!」「えっ、ママは仲間外れ?」「あ、きょうはママもいっしょだ!」「じゃあ、誰に内緒なの?」
「では、お部屋までご案内いただけますか?」「僕が案内します」 真人さんが立ち上がった。「葵さんは、陽奈ちゃんとここで待っていて」「……はい」 私は陽奈を抱き寄せた。「ママ、もかちゃんは?」「……うん。今、検査してもらうからね」「げんきだといいね!」「……そうだね」 私は笑って頷いた。 どうか今度こそ、何もありませんように―― 陽奈と話をしながら待っていると、真人さんと刑事さんが戻ってきた。「……真人さん!」 私は立ち上がった。「どうだった?」「部屋の中に、誰かが入った形跡はなかったよ」「……本当?」「うん。玄関の鍵も問題なかった」「……よかった」 ほっと胸を撫で下ろす。「それで、もかちゃんは……?」 刑事さんが口を開いた。「ぬいぐるみは、念のためお預かりして詳しく調べることにしました」「……そうですか」「現時点で、目立った異常は確認できていません。ただ、詳しい検査が必要です」「……はい」 私は小さく頷いた。 新しいもかちゃんまで、警察に預けることになるなんて。 陽奈には申し訳ないけれど、安全のためだもの。 仕方ないよね。「もかちゃん、まだかえってこないの?」 陽奈が不安そうに聞いた。「うん。もう少しだけ待っててね」「……うん」 しょんぼりする陽奈を、真人さんが抱き上げた。「陽奈ちゃん。
いや、待って。 元夫が陽奈を取り返そうとしているなら、どうして私の下着が盗んだんだろう? それに、もかちゃんに隠しカメラを仕込むなんて、あの人がするかな。 そういうことには疎い人だったし、違うと思いたいけど……。 わからない。 考えれば考えるほど、誰もが怪しく思えてしまう。「はぁ……」 思わずため息が漏れた。「葵さん?」 隣に座っていた真人さんが、心配そうに顔を覗き込んでくる。「大丈夫?」「……はい。でも、誰が犯人なのか考えていたら、頭がぐちゃぐちゃになっちゃって」「そうだね。今は情報が少なすぎる」「……うん」「ただ、ひとつ言えることがある」「なんですか?」「犯人は、僕たちが今日もかちゃんを買ったことを知っているってことだ」「……はい」「でも、知っているのが花菱だけとは限らないよ」「え?」 どういうことだろう。「店の中で見られていたかもしれないし、誰かがその話を聞いた可能性もある」「……そっか」 確かにそうだ。 花菱さんがいたから、どうしてもあの人を疑ってしまうけれど。 他にもお客さんはいた。 店員さんだって、何人かいた。「だから、今は決めつけずに警察の調査を待とう」「……はい」 真人さんが私の手を握った。「大丈夫。ひとりで考え込まなくていいからね」「……ありがとう」 その手の温かさに、少しだけ気持ちが落ち着いた。すると――「ママぁ」
「葵さん。少しだけ、ここで待っていてくれる?」「え?」「部屋の様子を確認してくる。何もなければそれでいい」「で、でも……」 真人さんが一人で部屋に戻るってこと? もし、まだ誰かが潜んでいたら?「危ないからやめて欲しい」「大丈夫。部屋の中には入らず、まず玄関から確認するだけにする。何かおかしければ、すぐに警察を呼ぶよ」「……うん」 真人さんは私を安心させるように微笑んだ。「陽奈ちゃんと一緒にいてね」「わかった……」 真人さんが立ち上がる。 その時、陽奈が私の袖を引っ張った。「ママ、もかちゃんは?」「……え?」「もかちゃん、おるすばんしてるの。おむかえにいかないの?」 どうしよう。 あのぬいぐるみを、また陽奈に持たせるなんてできない。「もかちゃんは、もう少しお留守番してもらおうね」「ええー! ひな、もかちゃんとねんねする!」「ごめんね。今日は……」「やだぁ!」 陽奈が泣きそうな顔になる。 さっき、あんなに喜んでいたのに。 せっかく真人さんが買ってくれた、大切なプレゼントなのに。 どうして、こんなことになっちゃうの?「陽奈ちゃん」真人さんがしゃがんで、陽奈と目を合わせた。「新しいもかちゃんは、今日ちょっと検査してもらうことになったんだ」「けんさ?」「そう。元気かどうか、調べてもらうんだよ」「もかちゃん、びょうき?」「ううん。病気じゃないよ。今悪い病気が流行っているから、念のための検査だよ」「……そっかぁ」 陽奈がしょんぼりする。
エレベーターの扉が開くと同時に、真人さんが急いで降りてきてくれた。隣には陽奈もいる。「葵さん!」「……真人さん!」 真人さんだった。 片手にはスーパーの袋。 もう片方の手には、陽奈の手を握っている。「ママぁ!」 陽奈が私を見つけて駆け寄ろうとした。 けれど、真人さんがそっと引き止める。「陽奈ちゃん、ちょっと待ってね」 そして、私のところへ急いで来てくれた。「葵さん、大丈夫!?」「ま、真人さん……!」 顔を見た瞬間、張りつめていたものが切れた。 私は真人さんの胸に飛び込んだ。「怖かった……!」 ぎゅっとしがみつく。ポロポロと涙がこぼれた。 真人さんが私を抱きしめてくれた。「ごめん。ひとりにして」「ううん……! 違うの……! 真人さんのせいじゃない……」 言葉がうまく出てこない。 真人さんは、何も聞かずに背中を撫でてくれた。「もう大丈夫。僕がいるから。陽奈ちゃんもいるよ」「っ……!」「怖かったね」 その言葉に、また涙が溢れた。真人さんの胸に顔を埋める。 温かい。真人さんの腕の中にいると、ようやく息ができる気がした。「ママ……だいじょうぶ?」小さな声が聞こえた。 はっと顔を上げる。 陽奈が、不安そうに私を見つめていた。「ママ、ないてるの?」「あ……」 しまった。 陽奈の前なのに。「ご、ごめんね